2023年11月29日 新着情報

死者104人。『大洋デパート火災』から今日で50年。

死者104人もの被害を出した『大洋デパート火災』から今日2023年11月29日で50年を迎えます。

日本における開店中のデパート火災としては史上最悪とされています。

私はまだ生まれていませんでしたが、この惨事は風化させてはならないと思います。

104人もの被害を出したこの火災とはどういうものだったのか?

出火場所は従業員専用階段の2階から3階にかけての踊り場部分に積み上げられた段ボール。

出火原因は不明。 火災の第一発見者は3階寝具売り場従業員だそうですが、通報したのは道路向かいの理髪店だそうです。

デパートからは消防への通報はなかったそうです。

どうしてそのような事になったのか、その原因として考えられるのは、このデパートは日頃から消防の警告と指導を無視し、消防計画の作成はおろか、消防訓練(通報・避難・消火など)も実施していなかったそうです。

現在におけるこのような不特定多数の人が集まるような施設には、その建物の従業員等で構成される『自衛消防組織』があり、火災を発見した際の『通報』『避難誘導』『初期消火』『応急救護』などの実施者をあらかじめ決めておき、ふだんから訓練を実施しています。

これを実施していなかった当時のデパートではどうなるでしょう。

当時は携帯電話などもありません、誰かが電話で通報しなければいけないのです。しかし、このような役割がないので、大規模な混乱の中で、従業員全員が「誰かが通報するだろう」と思い込んでしまったのでしょう。

そして多くの人が逃げ遅れた原因として一番大きいのが、火災を自動で早く感知してベルやサイレンなどで建物全体に知らせる「自動火災報知設備」、階段での避難が出来なかった場合の最後の砦の「避難器具」、火災による煙や停電になった場合でもバッテリー等で緑色に光って出口まで案内してくれる「誘導灯」、自動で消火してくれる「スプリンクラー」などは工事途中で機能していなかったそうです。

つまり、火災を発見するのは人だけ...当時の火災発見者の行動を資料で見ますと、外壁塗装をしていた工事関係者が3階階段の窓から白煙が出ているのを発見後、窓ガラスが割れて火炎が噴出してから周囲に知らせ、火災を知った工事作業員と1階出口付近にいたタクシー整理員が階段を登って消火しようとしたが、水槽付消火器(?)は水圧が弱く、粉末消火器も使用方法を知らなかったため消火できなかったそうです。バケツリレーも行われたそうですが火勢が拡大したため消火に失敗したそうです。

そして第一発見者とされている3階寝具売場の従業員も布団を引きずりおろしたりと消火にあたったが、消火器から薬剤が出ず、階段からの熱気の吹込みで布団類に着火して延焼したそうです。

店舗全館に対する火災発生の通報はないまま、4階以上の各階では煙の侵入などによって初めて火災発生を感知する状況だったそうです。

火災の煙や延焼を防ぐための防火シャッターも整備不良で、完全に作動し閉鎖したのは23枚中7枚、しかし防火シャッターわきのくぐり戸(シャッターがしまった場合に逃げるための扉)も施錠されていたそうです。

そして、建物の窓のほとんどが合板張りされて無窓階と同じような状態で、さらに内側に商品棚が取り付けられていたため窓からの避難もできなかったそうです。(参考:Wikipediaより)

もし、自火報設備がきちんと機能されている状況だったら...もし、消火器の使い方をみんなが知っていたら...消火器もきちんと点検され使用できる状態であったら...防火シャッターもきちんと全部普段から点検整備されていたら...くぐり戸も使える状態であったら...ふだんから消防訓練を定期的に実施していたら......もっと逃げれた人は多かったはず! このようにたくさんの人の命が奪われることはなかったと思います。

この火災の後、消防法が大きく改正され、特定防火対象物について自動火災報知設備だけでなく全消防用設備等の遡及設置などが定められました。

火災はどんなに気を付けていても無くなりません。しかし、一人ひとりが”火災予防”について行動する事で、最小限の被害に抑えることができるのは事実です。

この”大洋デパート火災”から50年という節目を迎える今日、”火災予防”について、”万が一の時どう逃げるか”について、ご家庭で話し合ってみましょう。

子どもたちと一緒のお出かけ先で、もし火災に遭遇したらどうしますか?突然停電で真っ暗になったらどうしますか?

お子さんと一緒に無事に逃げれるように、普段のお出かけのときから、お子さんと”緑色の逃げろマーク”はどこにある?階段はどこにある?など、探したりしてみてください。

火災は待ってはくれません、いつ、どこで火災が起こるか誰もわかりません。いざという時、ご自分の命、お子さんの命を救えるのはあなたです。

この機会にぜひ考えてみてください。

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